猫は甘みを感じない?猫の味覚の不思議と秘密


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 ●甘みを感じることができないと言われる猫。それがもし本当なら、そこにはどんな理由や不思議と秘密が隠されているのでしょう。このページでは、猫の味覚の不思議と秘密についてご紹介しています。

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猫の画像猫は甘みを感じない?猫の味覚の不思議と秘密

猫は甘味を感じられないって嘘?本当?

 ご存じの方も多いと思いますが、「猫は甘味を感じない」と言われています。本当なのでしょうか?

 その答えは「本当」です。猫だけでなくネコ科の動物たちは「甘味」には鈍感で、「酸味」や「苦味」にとても敏感なのです。では、その理由にはどんな不思議と秘密が隠されているのでしょう?


猫も人間も味を感じる仕組みは同じ

 味覚は、私たち人間も含めて動物が持っている五つの感覚である「五感」のひとつで、口から摂取した食べ物などの味を感じる感覚のことをいいます。

 動物の舌には「味蕾(みらい・味蕾細胞とも)」という味覚を司る器官(細胞の集まり)があります。味蕾には、それぞれに担当する味覚があり、酸味を感じとる味蕾、甘味を感じとる味蕾というように、担当が分かれています。

 この味蕾に触れたものに含まれる化学的成分の刺激が情報として脳の味覚中枢に伝わって、私たちはその情報を「酸っぱい」「苦い」といった「」として認識します。このしくみは、人間も猫も他の動物たちも基本的に同じです。

 つまり、猫たちも私たち人間と同じように舌にある味蕾(味蕾細胞)で味を感じ取っているということですね。

 ただし私たち人間の味蕾と猫の味蕾とでは大きく違う部分があります。それが、味蕾の総数と、それぞれの味を受け持つ味蕾の割合です。

 個体差もありますが、人間の味蕾の総数はおよそ10000個。それに対して猫の味蕾はおよそ500個。単純に計算しても、ネコの味蕾は人間の20分の1ほどしかありません。ちなみに、犬は2000個です。犬と比べてもずいぶん少ないですね。

 そして、それぞれの味を担当する味蕾の割合も人間と大きく違い、猫は酸味や苦味を感じる味蕾が大部分を占め、甘味や塩味を感じる味蕾はほんの僅かだと考えられています。

 こうした、味蕾の総数や分布の違いから「人間はより多くの繊細な味を楽しむことに特化した味覚を持つ動物」であり、「猫は「酸味」「苦味」といった味覚情報をより鋭く感じ取ることに特化した動物」であると考えることができます。

 では、なぜ猫(ネコ科の動物)は、「酸味」や「苦味」に特化した味覚を発達させたのかを、次にご紹介してみましょう。


猫は「酸味」「苦味」にとても敏感

 ご存知のように、味覚には「甘味」「酸味」「塩味」「苦味」「旨味」があります。私たち人間はこうした味覚をバランスよく間感じ取ることができます。猫たちも、人間と同じようにこうした味覚を感じ取ることができます。ただし、先ほどもご紹介したように、猫の味覚には猫ならではの味を感じ取る優先度に違いがあります。

 順番で言えば、猫たちは、「酸味」「苦味」「塩味」「甘味」の順に味覚に対する感度が下がっていきます。つまり、猫たちは「酸味」「苦味」にはとても敏感な動物なのです。

 とくに「酸味」にはとても鋭敏に反応します。これはネコ科の動物全般に言えることですが、基本的に肉しか食べないネコ科の動物は、その肉が腐っているか、そうでないかを見分けることがとても重要だったことから、酸味に対してとても敏感になったと考えられています。

 つまり肉を口にしたとき、その肉が腐り始めた肉かそうでないかを知る重要な手がかりとなる酸味を即座に感じ取れるかどうかが、猫たちにとって、生死に直結する重要なことだったということです。


猫が甘味を感じられないその理由

 ではなぜ、猫やネコ科の動物は「甘味」を感じる感覚が発達しなかったのでしょう。その理由には様々な説があるようですが、肉食という猫の特徴的な食性に大きな理由があると考えられています。

 ご存知のように、猫は基本的に肉以外のものを食べません。そのため、穀物や果物を食べない猫たちにとって、そこに含まれる「甘味」成分を感じ取る感覚が必要ではなかった。その結果、猫たちの甘味成分を感じ取る味蕾が発達しなかったというわけです。

 厳密に言えば、猫もわずかながら甘味を感じることはできます。ただし、それは肉が分解されて生成されるアミノ酸に含まれる甘味で、私たち人間が感じる砂糖や果物に含まれる甘味とは違うものです。

 いずれにしても、猫(ネコ科の動物)は主食である肉の鮮度と安全性を見極めるための重要な情報である酸味や苦味の感覚が高度に発達し、逆に肉の鮮度や安全性を見極める指標にはなりにくい塩味や甘味の感覚はほとんど発達しなかったというわけですね。

 ちなみに、猫たちにとっての「塩味」の場合は、どうでしょう? ご存知のように、過剰に摂り過ぎれば体に良くないものですが、私たち人間も含めて、塩分は生きていく上で必要不可欠な成分です。それは猫たちも同じです。

 でも、猫たちの味覚の優先度から言えば、「酸味」「苦味」の感覚が圧倒的に敏感で、「塩味」は「甘味」と同様にとても鈍感です。猫たちの生存に必要不可欠な塩分を感じ取る味覚が、どうして発達しなかったのでしょう。

 その理由もやはり、肉食中心の食性に関係があると考えられています。つまり、肉食の猫は、獲物の肉や血液中に含まれる塩分で、生存に必要な塩分を十分に補給できることを本能的に知っているということです。だから、あえて「塩味」についても、ことさら敏感になる必要がなかったということですね。

 肉食獣である猫は、獲物となった肉や血から、塩分だけでなく鉄分やタンパク質、ビタミンやミネラルやアミノ酸、脂肪や炭水化物といった、猫が生きていく上で必要な栄養分のほとんどすべてを得ることができます。穀物や野菜や果物は、猫たちには必要ありません。

 こうした肉食という、とてもシンプルな食性を選んだ猫やネコ科の動物たちは、生存競争を生き抜いていくために、その肉が美味しいかどうかよりも、より新鮮で安全であることを感じ取るための「酸味」「苦味」に対する味覚が必要不可欠だったのです。言い換えれば、そうした目的に必ずしも必要でない「塩味」や「甘味」に対する感覚をあえて切り捨てて進化してきたとも言えます。

 ちなみに、猫は甘味をほとんど感じないとご紹介しましたが、ショ糖(スクロース)、ブドウ糖(グルコース)、果糖(フルクトース)や、 糖アルコールなどで構成される果物の甘味などには鈍感ですが、肉や味噌、納豆、チーズなどのタンパク質が分解されてできるアミノ酸の甘味は感じ取ることができると考えられています。

 また、ネコの味覚が、「酸味」の次に「苦味」に敏感なのは、やはり腐敗し始めた肉が分解されてできるアミノ酸に苦味があるためといわれています。「酸味」「苦味」に対して猫が敏感なのは、自然界で生きていくために、誤って腐った肉を食べないように備わった自己防衛能力ともいえます。

 とはいえ、最近では猫たちも人間の食べ物を口にする機会が多くなったせいか、塩辛さや砂糖の甘さに敏感な猫も増えているのだそうです。

 猫たちの味覚も、生きていく場所や食性の変化によってさらに進化を続けているということなのでしょうね。


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 出典及び参考書籍

 「新・子ネコの育て方百科」(誠文堂新光社・桑原久美子著)/「かわいい猫との暮らし方・しつけ方」(誠美堂出版・監修小島正記)/「0才からのしあわせな子猫の育て方」(大泉書店・服部幸・監修)/「はじめての猫飼い方育て方」(学研パブリッシング・石野孝・監修)ほか


  

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